あらためてここで。
ディオールと言えば、私にとって一番身近なのは香水に化粧品ですが、
ディーオールと言えばオートクチュールという世界があります。
(雑誌で見たあれがそうだったのかという感じですが。。。)
場所はパリ、クリスチャン・ディオール本社最上階。
ここに、オートクチュールのアトリエがあります。
このアトリエで働くお針子さんたちの手ですべてのドレスが作られるというから素晴らしい。
みごとなビーズ細工が一面にほどこされたドレスだって、そういう生地じゃあないんです。
無地の一枚の布に、お針子さんたちがひとつひとつ縫い付けていくのです。
でもって、最初は真っ白な布で作りはじめるんですね。
年に2回発表されるコレクション。
いつもなら4か月から6か月かけて用意されるオートクチュール54体を作り上げるところ、
2012年、デザイナーに着任したラフ・シモンズ(以下、ラフ)に与えられたのはわずか8週間。
それもオートクチュールをてがけるのはこれが初めてですから、なおさら緊張感が走ります。
(って、見ている私が、ですが)
で、この映画は、コレクション当日までの製作過程を追うわけですが、
アトリエを維持するためにはかかせないお得意さまからの注文への対応で、
お針子さんのトップがニューヨークに行ったまま、パリまでなかなか帰ってこれなかったり。
ラフの要求する布地のレベルが限りなくハイレベルだったり。
イメージするコレクション会場の設営がはてしなくたいへんだったり。
リハーサルをしたいのにドレスがなかったり、とにかくまあ色々ありますねえ。
ラフを補佐するピーター(ピーター・ミュリエー)がフランス語に堪能で、
お針子さんともあっというまに打ち解けてしまうのに対して、
あんまりフランス語が流暢ではないラフは、無愛想なのかちがうのか、
コミュニケーションもなんだか不器用な印象で、
心配する必要ないと思っていても、この映画(というかコレクション)はどうなるのか、
と画面を凝視続けること1時間半ちかく。
コレクション当日、最後の最後に会場に登場するラフをみていると、
なんだかその場にいるような、達成感に私まで満たされました。
(映像が上手なの?!)
もちろん、ドキュメンタリーだから好みは分かれると思います。
なにを期待してみるのかがそもそも違うでしょうから。
だけど、私はお針子さんたちがドレスをまさにつくっている現場を見られたし、
その作っていく様子一つ一つ、使っている道具、
ラフのアトリエ、デザインする様子そのひとつひとつを眺めるのが新鮮で楽しかった。
へえ、パソコンはこういうのをつかってるのかーとか、
壁にどんどん貼っていくのね、とか。
そして、まったく関係ありませんが、ラフとピーターのファッションもみていて興味深かった。
果てしなくシンプルなのにおしゃれ。
上映している映画館も少なくなっていそうですが、ご興味の方は是非。