成人の日ですね。
新成人の皆さん、おめでとうございます。
大人になるということは、
自分で決断していくってことなのかな、なんて思います。
その決断に責任を持つっていう。
なんて、思うのは、きっと今から紹介するこの映画を見たからかもしれません。
今日は、新加坡通信Vol.7(2008年3月13日発行)から、
旧ソビエトのグルジア共和国の首都トビリシを舞台にした映画「やさしい嘘」を、
間取りウォッチングです。
2003年フランス・ベルギー合作
ジュリー・ベルトゥチェリ監督
娘のマリーナと孫娘アダと三人で暮らすエカおばあちゃんの楽しみは、
パリで働く息子おタールから届く手紙(お金も入っている!)と、
たまにかかってくる電話。
アダに読んで読んでもらっては返事を書いてもらうのですが、
ある日、別荘に友人と出かけている間に、
留守番をしていたマリーナとアダのもとに一本の電話がかかってきます。
そこから始まるやさしい嘘。
かつては裕福な娘時代を過ごしたであろうエカは、流暢なフランス語を話します。
勉強熱心なアダは、得意のフランス語を通訳バイトにいかしますが、
ちっとも稼ぐことができません。
ソ連崩壊後、経済も郵便も電気も水道も混乱したまま、
うまく機能していない母国に希望を持てないアダは、
外へ出ることを強く願っています。
弟オタールを心配してばかりの母エカにイライラしてばかりのマリーナも、
夫をアフガニスタンで失ってからは、
家族を支えようと力が入るばかり。
三世代それぞれの心模様、じれったい気持ち、寄り添う気持ち。もがく気持ち。
そして、三人にまつわる周囲の人々が
(隣人ルシコ、マリーナの恋人テンギス、アダの彼氏?アレクシ等)
丁寧に描かれたこの作品に、きっと自分の家族や大切な存在、
いろんなことに想いをはせずにはいられません。
(アダがろうそくを置いた棚は、中央下部のホールにある)
マリーナが家を支えるエカおばあちゃん一家ですが、
エカの亡き夫のものであるフランス語の書籍は、
ホール備え付けの本棚にぎっしりと並んでいます。
交差部の棚にろうそくを置き、顔を近づけながら本を読むアダの姿が印象的です。
←なにせ停電がしょっちゅうあるので、ろうそくは必須アイテムなのです!
家の中や別荘にあるめぼしい品々を売りながら過ごしている模様。
三人で暮らすには決して狭いわけではないのですが、部屋の数はたりません。
エカこそ寝室がありますが、
マリーナとアダはダイニングリビングに置いたソファーベッドをベッドにして、
寝室にしているわけですから。簡素な作りですし、リッチとは言えなさそう。
一部屋一部屋はゆったりしているのですが、日本的な表現をすると1LDKです。
唯一の個室であるエカの寝室ですが、是非注目を。
壁紙もカーテンもベッド周りもすべて花柄で、意外と(?)おしゃれにまとまっています。
キッチンそしてホールとの間にある扉が、
ガラスをはめこんだタイプなので、
視線よけ、明かりを遮るために、布をつるしているのもかわいい。
そしてなにより、ドレッサーに向かうエカを見ていると、
ドレッサーとか鏡って、いくつになってもおしゃれ心にとって重要で不可欠だなと実感します。
さて、この映画の舞台、トビリシは、市電が走っています。
マリーナとアダが別荘にいるあいだ、街の中心部に出かけるエカが使うのも市電です。
市電が今も活躍している街は日本では数少ないですが、
電車やバスよりもなんだか親しみやすい感じが大好きで、
市電がある街に行くと乗らずにはいられません。
(日本からパリなんて直行便でも13時間近くかかる。トビリシからは5時間ほど)
行ったことのない知らない街も旅したり暮らした気分になれるのも、映画の楽しみ。
もっとも、百聞は一見にしかずで、実際に行ってみるのが一番!
なのは、言うまでもありません。
行きたいところがどんどん増えちゃうな。