新加坡通信では、3回にわたって紹介しました。(ブログの記事はこれとこれ)
今日は、その新聞の1回目の記事を編集加筆して、お届けします。
金城武さんが演じた内気な(ってあんまり見えないけど)ヴァイオリニスト。
彼の名前はジョン・リュウ。学生番号は763092。
彼が、中学生の時の夏季キャンプで出かけた剣湖山で
一目ぼれした女の子(学生番号784533)が池に落とした原稿を、
服のままふとももまで水に浸かって拾いあげたことがきっかけで、
彼も彼女もお互いを意識する。
・・・のですが、
そこでほんのひと時ハッピーな出来事があるのですが、
それもつかの間、十数年後の現在が映画の舞台です。
ふたりの見事なまでのすれ違いぶりと、
恋を邪魔するそれぞれを想う男女まで出てきて、、
観ているこちらはじれったいのなんの。
なのですが、何回も見た今でも、
脇役二人のあまりに濃いキャラクターや中国語の滑舌のよさに圧倒されます。
もっとも、初めて見たときは放心状態のまま、90分間を過ごしましたが。
この映画には駅が三つほど登場しています。
うち二つは、学生(というか中学生)の夏季キャンプ帰りに。
三つ目が二人が現在使っているらしい「北投」駅です。
ホームはとってもきれいで、新しい感じ。
台湾を旅行した時のガイドブックを見ると、出ていました。
ターミナル駅なんですね。
ヴァイオリニストとして活躍することを夢見る彼と、
翻訳家として活躍することを夢見る彼女は、どうやら家賃を滞納している模様。
大家のおじさんと大家のおばさん(←夫婦ではない)が取り立てに来ては、
扉をドンドンドン!ドンドンドンドン!とたたいています。
でも、ふたりともこの直前に家を飛び出して行ったから、
支払えない?いや、支払いたくない…確信犯・・・?
この映画で興味深いのは玄関扉です。
日本の集合住宅の場合、玄関扉は1枚ですよね。
夏になると、網戸を入れられる方もいらっしゃるとは思いますが、
それだって、住んでいる人が自分で設置することがほとんどですよね。
(つまりはお好みに応じて、カスタマイズってことで)
ですが、この映画に登場する二人の家の場合、
いわゆる玄関扉(下図のA)と風通し用の扉(網戸ではない。下図のB)が
最初から二つセットになっているんです。
( ↑ つまりはこういうこと)
これと同じようなものを、シンガポールの集合住宅でもみかけたことがあります。
暑いところではあらかじめこういう風にして涼をとりやすいように工夫するのかな~と、
なつかしく眺めています。
靴を脱ぐタイミングが気になるんですが、土足のままなんでしょうか。
シンガポールでは、集合住宅の共同廊下に靴が置いてあったりして、
慣れるまでは不思議な感じがしました。
(もちろん、置きっぱなしはいけませんが)
映画「幸せのポートレート」では、
寒さを考慮してキッチンの勝手口が二重扉になっていましたが、
こんな所にも気候風土ってあらわれますね。
そんな細部の発見も、おもしろい。
さて、この映画の彼女の場合、
通風用のトビラに、目隠し?視線よけの布をつるしています。
( ↑ こんな感じ)
風邪をひいて熱をだし、夜中に水を飲んで気を失っていた時、
扉を突然ノックされて、おそるおそる開ける前に、
この布からちらっと相手を確認するあたり、やっぱり女の子はこうよねーと思うのでした。
(新加坡通信Vol.43 2008年11月20日発行より)